桂離宮は京都市西京区桂にある皇室関連施設で、江戸時代の17世紀に皇族の八条宮の別邸として創設された建築群と庭園からなっています。面積は約7万平方メートルで、うち庭園部分は約5万8千平方メートルあります。離宮とは皇居とは別に設けた宮殿の意味ですが、「桂離宮」と称するのは明治16年(1883年)からで、それ以前は「桂別業」などと呼ばれていました。江戸時代初期の造営当初の庭園と建築物を遺しており、当時の王朝文化の粋を今に伝えています。回遊式の庭園は日本庭園の傑作とされ、建築物のうち書院は書院造を基調に数寄屋風を採り入れているほか、庭園には茶屋が配されています。現在は宮内庁京都事務所が管理しています。
桂離宮の建造物は書院群と池の周囲に散在する御茶屋群で構成されていますが、古書院、中書院、新御殿はいずれも入母屋造、杮板という薄い板を葺足にして竹針で止める柿葺の屋根です。書院造を基調としていますが、数寄屋風の要素も見られます。回遊式庭園には、桂川の水を引いた池を中心に茶屋、築山、州浜、橋、石灯篭などを配しています。茶屋は松琴亭、賞花亭、笑意軒、月波楼の4棟があり、他に持仏堂の園林堂があるほか、池では舟遊びも楽しむことができ、それぞれの茶屋に船着場が設けられています。
参観には宮内庁京都事務所に事前申込みが必要です。