春日大社は、御蓋山(みかさやま)の西麓にある神社です。1998年に「古都奈良の文化財」の遺産群の1つとして、世界文化遺産に登録されました。
710年の平城京遷都に合わせて、藤原氏が鹿島の武甕槌命を勧請。768年に称徳天皇の勅命で、武甕槌命に加えて経津主命・天児屋根命・比売神の社殿を造営したのが始まりと伝わっています。藤原氏の勢力拡大に合わせ、境内には次々と社殿が建てられていきました。
中世以降は庶民にまで信仰が広がり、燈籠を寄進する者もでてきます。春日大社の燈籠は「春日燈籠」と呼ばれており、竿が円形で火舎が六角なのが特徴。現在は境内に、約3,000基の燈籠が建てられています。
毎年8月の中頃に行われる中元万燈籠は、境内の燈籠に火を灯す伝統的な行事です。300年以上前に奉納された燈籠がたくさんあり、日本全国の室町時代に建てられた燈籠のうち、約7割は春日大社の境内にあると考えられています。毎年12月中旬に執り行う春日若宮おん祭も要チェック。1136年に関白藤原忠通が始めた行事で、880年以上の歴史を持つ国の重要無形民俗文化財です。
境内には春日造の社殿と燈籠だけでなく、春日大社国宝殿と萬葉植物園もあります。宝物殿では春日大社が所有する貴重な文化財を鑑賞するほか、ショップやカフェで休憩することが可能。萬葉植物園では、萬葉集で詠われた植物を約300種類栽培しています。社殿へのお参りと合わせて、ぜひ立ち寄ってみてください。
・地面に着くほど長く垂れる「砂ずりの藤」
・朝9時より行われる朝拝は参加可能、直会殿へと上がれる
・奉納される巫女舞「春日大社社伝神楽」は、平安時代初期から脈々と受け継がれたもの
・拝観料を支払うことで、瑞垣と回廊の中へ入れる