豊稔池堰堤(通称・豊稔池ダム)は1930(昭和5)年に完成した現存する日本最古の石積式マルチプルアーチダムで、2006年に国の重要文化財に指定されています。
国内のマルチプルアーチダムとしては、1961(昭和36)年に完成した宮城県の大倉ダムとこの豊稔池堰堤の2例しかなく、当時の米国の最新鋭の技術を使った、土木史、ダム史に残る貴重な建造物となっています。
のちの補修工事でコンクリートで覆われた部分があるものの、石積式の5つのアーチが連なるヨーロッパの古城のような風格のあるたたずまいにファンも多く、田植え時期の放水やユル抜き行事のある6~7月は多くの写真愛好家や見学客が訪れます。
また、ダムの下流には豊稔池遊水公園が整備されており、ダムに直接触れる距離まで近づくことができます。初夏には流域で蛍も楽しめることから、夏休み時期には家族連れの姿も多く見られます。