薬師寺は、天武天皇が皇后の鸕野讃良の病気平癒を願い、680年に発願した寺院です。天武天皇の没後、持統天皇がその遺志を引き継ぎ、698年に藤原京に創建しました。都が平城京へ遷ったのに伴い、718年に現在の場所へ移転することになります。移転先でも藤原京にあったときと同規模・同配置の伽藍が建設されたと伝わっています。
薬師寺の伽藍は「龍宮造り」と呼ばれるほどの栄華を誇っていましたが、1528年に地侍が起こした戦火により、東塔以外の建物のほとんどを消失。明治時代、フェノロサは東塔を「凍れる音楽」と評しました。昭和時代以降かつての伽藍の再建が始まり、現在に至ります。
薬師寺を訪れたときにまず注目したいのは、伽藍の配置です。中央に金堂、東西に2つの塔を配置する様式は、日本では薬師寺で初めて登場しました。薬師寺と似た伽藍配置は、「薬師寺式伽藍配置」と呼ばれています。
創建当初の姿を残している建物は、730年に創建された国宝の東塔のみ。1981年に西塔が当時の彩色をもとに再建されたので、見比べてみるのもよいでしょう。1285年に再建された国宝の東院堂と、1603年に再建された重要文化財の休ヶ丘八幡宮も必見です。
毎年3月末から4月初頭にかけては、修二会花会式が行われています。現在の形式は1107年に始まると言われており、往時の法要の様子をうかがうことが可能です。境内のお写経道場では、毎日写経体験を実施しています。個人なら予約なしでも体験できるので、時間に余裕がある方はぜひ試してみてください。
唐招提寺は薬師寺から徒歩15分ほどの距離にあり、景観保護区(歴史的風土保存区域及び歴史的風土特別保存地区)に含まれた道は、のどかな散歩を楽しむことが可能です。
・夏は壺植えの蓮の花が楽しめます
・一回30分ほどの僧侶による法話は、とても軽妙な語り口で寺の歴史と仏教説話を聞かせてくれます
・拝観時間は午前8時30分~午後5時(受付は午後4時30分まで)
・近鉄西の京駅から歩いてすぐ、JR奈良駅および近鉄奈良駅とはバスで直通