フゴッペ洞窟は余市の町から国道5号線を4kmほど東に走り、日本海余市保養センターはまなす温泉の交差点を山側に100mほど走るとJR函館本線の手前にフゴッペ洞窟があります。
ここは1950年に海水浴に来ていた中学生によってこの洞窟が偶然発見され翌年から発掘調査が進み1953年には国指定の史跡となりました。このフゴッペ洞窟は丸山と呼ばれる砂岩貭の小丘陵の東側に奥行約5メートル、問口約4メートル、高さ約5メートルの洞窟が広がり、洞窟内部の壁面には隨所に1500年前の続縄文時代に属する遺跡と共に原始的な図象が陰刻されており、岩壁に刻画を残す洞窟遺跡は小樽市手宮洞窟と共に現在日本国内において対比されるものがない。200を超す刻画があり、人が仮装したようなものから舟、魚、海獣、4本足の動物のようなものがあります。
角や翼の付いた人間離れした彫刻が多く、これらはシャーマンではないかと考えられ、この洞窟が何らかの呪術的儀礼の場だったと推測され、シベリアや北アメリカ大陸の極東地帯に見られる岩壁彫刻との文化的なつながりも考えられています。
洞窟はもろくて風化、剥落が見られたため1972年に世界で三番目、我が国で最初のカプセル方式によって洞窟を完全に建物で覆った。壁面はガラス張りとなっていて見せる文化財として一般に公開されています。
洞窟からは多数の土器や石器、骨角器、そして洞窟の前庭部からは本州製の太刀も発見されており建物内に展示されています。